【驚異の知能と狡猾さ】チンパンジー・ブルーノの物語

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動物園に行けば可愛い動物がたくさんいます。

特に「〇〇〇の赤ちゃんが生まれた」というのはニュースにもなり、その可愛らしさから多くの人の関心を集めます。

赤ちゃんが可愛いのは、人だけでなく動物みんな同じというわけです。

しかし世の中には可愛いだけでは済まされない、恐ろしいお話があります。

チンパンジーのブルーノをご存知でしょうか?

彼の生い立ちは、私達人間によく考えさせられるようなお話でもあります。

目次

衰弱して売られていた赤ちゃんチンパンジー

チンパンジー・ブルーノの舞台は、アフリカ・シエラレオネ共和国にあります。

シエラレオネ共和国とは、私達日本人には、あまり馴染みのない国だと思いますが、アフリカの赤道付近より少し北側にあり、北大西洋に面した国家になります。

1988年、今から30年以上前の話です。

シエラレオネで保護区の経理担当職員をしていた夫とその妻が、首都フリータウンの北に150キロに位置する小さな村で、一匹の衰弱したチンパンジーを20ドルで購入しました。

夫妻は、そのチンパンジーを「ブルーノ」と名付けました。

ブルーノの名前の由来は、プロボクサー「マイク・タイソン」と戦った、英国のヘビー級ボクサー「フランク・ブルーノ」にちなんで、元気に育ってほしい願いを込めて付けられました。

その込められた願いが叶ったのか、衰弱していたブルーノは、この後大きく成長する事になりました。

大きく育ちすぎたブルーノ

ブルーノはわずか数年で大きく成長しました。

飼育していた夫妻は、ブルーノを檻に入れず育ててましたが、大きくなりすぎたため、夫妻は電気柵で囲われた保護地区に放つ事になりました。

売られていた時には衰弱したブルーノがここまで成長するとは、もしかしたら夫妻は思っていなかったのかもしれません。

ブルーノの体格は、体調が180cm、体重は90Kgを超えていたと言われています。

これは平均的なチンパンジーの2倍を超えていました。

ブルーノは人間に育てられていたためとても賢く、またその体躯を生かして保護地区のチンパンジーの群れの中でリーダとして君臨するようになりました。

『リーダとして君臨したブルーノは幸せに暮らしました』・・・となれば、何の変哲のない物語で良かったのですが、ここからがチンパンジーという種の知能の高さと恐ろしさを思い知らされる物語となります。

高度な知能と認識力を持つ、優れすぎたブルーノ

ブルーノは幼少期より人間と接してきました。

野生のチンパンジーなら、人間に近づかない事もあるようですが、ブルーノは人間の身体能力が脆弱であることも学んでいました。

保護区では、人間に愛想笑いや投げキスをする一方、気に入らない人間に対しては、石やフンを投げるなどの行為をしていました。

この投げる力は、普通のチンパンジーは決して高くないものの、ブルーノはかなり正確に当てることができたと言われています。

人間のことも見下しつつ、一方で愛想を振りまく姿は人間と通じます。

いかにチンパンジーが人間に近いとは言え、私達人間は、そのような高度な知能を保有しているのは我々だけ、という意識がどこにないでしょうか。

だからこそ、そのようなエピソードを聞けば、感心するのと同時に、恐ろしい気持ちにもなります。

保護地区からの脱走に成功

その脅威な知能を人々は改めて認識する事件が発生しました。

ブルーノは保護地区からの脱走に成功したのです。

保護地区のチンパンジーの生育地には、二重のフェンスに囲まれ、更に電気柵が設置されていました。

生育地を出入りするには、複数の鍵を開けるという複雑な工程がありました。

チンパンジーはこれを観察することで学習し、2006年にはゲートを開いてブルーノを含む数匹のチンパンジーは脱走に成功しました。

まさに驚異の出来事です。

ライオンがどんなに恐ろしい存在でも、このような真似は絶対にできないでしょう。

人間に近い存在であり、動物としては高い知能を持ち、そして人間より遥かに強い身体能力を持ったチンパンジーは、ライオン以上の不気味さと恐怖があると私には思えてなりません。

恐ろしい襲撃事件を引き起こす

驚くべき脱走をしたチンパンジー。

当時は、脱走したチンパンジーは、野生のグループと同化するだろうと、楽観視されていたようです。

しかしながら、人間に育てられたチンパンジーは、野生と同化することはありませんでした。

そして恐ろしい襲撃事件を引き起こそしてしまったのです。

2006年4月、新しく現地に出来たアメリカ大使館を見学するために、米国人3人とシエラレオネ人労働者と現地ドライバー2人が保護地区の近くを車で走行していました。

すると偶然にも脱走したチンパンジーの群れと遭遇してしまいました。

米国人は物珍しさから撮影をする一方、現地ドライバーはチンパンジーが危険な存在だと知っていたため、これを制止し、その場を急いで離れようとしました。

しかし恐怖のあまり冷静さを失ったドライバーは、運転を誤り、保護区のゲートに突っ込み、檻に引っかかって身動きできなくなってしまいました。

ブルーノたち、チンパンジーが引き起こした恐ろしい事件が置きてしまいます。

チンパンジーは、車のフロントガラスを叩き割り、とても言い表せない残虐な方法で、もてあそぶように殺害してしまいました。

残りの4人は恐怖から散り散りに逃げた事により、あっという間に襲撃されてしまいました。

本来であれば、人間側は協力して対処すべきところを、先に恐怖を植え付けた事により人間側の冷静さを失わせました。

同時に、チンパンジーは冷静に獲物を狩ることに成功したという、残虐性だけに留まらない恐怖を人間に残しました。

そしてチンパンジーは憎悪の対象もしっかりと区別していました。

長年、自分たちを迫害してきた現地人(黒人)と米国人(白人)では、被害の状況からより強い憎しみを黒人に向けられていました。

憎しみの感情もまさに人間そのものです。

ブルーノのその後

結局野生に帰ることができなかったチンパンジーは、自発的に9匹が保護地区に戻ってきました。

結果的に27匹捕獲されたものの、ブルーノを含めた4匹は捕らえられませんでした。

2021年の現在、もしブルーノが生きているなら33歳くらいです。

チンパンジーは、飼育下ではオスが32歳、メスが39歳くらいと言われていますので、もしかしたらもうこの世に居ないかもしれません。

動物園で見かけることができるチンパンジー。

優秀な頭脳に関する事がある一方で、その優秀がゆえの残忍さはチンパンジーという生物への見方が変わるのではないでしょうか。

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