【東証システム障害】記者会見を見ていつも思う事

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2020年10月1日。
東京証券取引所にて、システム障害が発生したこの日は、終日、株取引が停止されました。
株取引がシステム化されて以降、システム障害による終日取引停止は初めての事です。

私も株取引をしています。
私が株をやり始めたのは、2006年のライブドアショック以降に始めました。
その間、確かに様々なシステム障害はありましたが、今日の終日取引停止は、私の中で結構なインパクトを残しました。

普段、あまり活発に株の売買はしてませんが、朝と終値の株価のチェックだけは、ほぼ毎日しています。
この日は株価が表示されていない、もしくは板が動いていないので不審に思いました。
確認したらシステム障害で取引ができない事が分かりました。
午後に入る前、東証は終日の取引停止を決めました。

漏れ伝わる情報の中には、原因はサイバー攻撃ではないとの情報が出てました。
ネット民の中には「ダウンの原因がサイバー攻撃でなく、システムそのものだとしたらそれはそれで問題」との書き込みもありましたが、私もそう思いました。

私は元システムエンジニアの端くれだったので、この件に興味がわき、16:30からの東証の記者会見をネットで生中継で視聴しました。

記者会見は全て見るつもりはなかったのですが、全部見てしまいました(笑)

システム障害の概要としては、東証の売買システム「アローヘッド」を構成する機器の一つ「共有ディスク装置」と呼ばれるサーバーで、メモリ故障によるハードウェア障害が発生したとの事です。
本来であれば、フェイルオーバー(システムに異常があった時 自動で代替機に切り替える)により問題なく運用できるはずのものが、今回上手くいかなったという訳です。
この故障箇所では、市場参加者からの注文情報などを処理していたらしく、システム再起動した場合、再開できる可能性があったものの、それまでの各証券会社が出した注文情報もリセットされてしまうため、市場参加者と話し合った上で、終日取引停止を決めたという事です。
午後から運用する事で、混乱が生じる可能性があり、二次的な災害を防ぐためであり、これまでのシステム障害で後場(午後の株取引)のみ復旧して運用した事例とは異なるとも説明されてました。

私も元システムエンジニアの端くれとはいえ、記者会見で配られたという資料もないので、理解半分程度でしょうか。
ただ、記者会見の記者の中には、あまりITに精通していないのか、素人を思わせる質問がいくつか気になりました。

例えば「なるべく横文字を使わないで説明してほしい」と質問した記者がいました。

おそらく、この記者はIT関連の知識に乏しかったのだと思います。
そして私の印象では、多くの記者が多かれ少なかれ、その知識に乏しかったと見受けました。

基礎知識もないのであれば、横文字を使わなくても、分からないものは分からないと思います。
また、ハードウェアの故障についても、記者会見で説明されてましたが、こうした機器は壊れる事が前提で、そのためにフェイルオーバーなどの冗長性をもたせる対策をとっており、壊れることが珍しいという認識を記者が示されていた事に、違うのではないかと私は思いました。

つまり、何を言いたいのかと言えば、記者とはプロです。
なぜ、ITや経済に精通した記者がいなかった事が疑問です。
システム障害が分かった時点で、記者会見が開かれるのは予想できたので、予めそうした人材をメディアは用意できなかったのかなと思いました。

また、私が思うに、今回の会見でシステム障害の詳細についてはそこまで突っ込む必要があったのかなとも思いました。
原因は調査中ですし、何よりも他にもっと聞くべきことがあったのではないでしょうか。

逆日歩やIPO上場、本日売買できなかった事による影響や補填、こうした質問が上がりましたが、私はもう少しシステム障害以外にも質問に力をいれる方が良かった気がしました。
少なくとも、同じような質問をする事が、とても生産的とは思えませんでした。
その程度であれば、時間の制約で難しいかもしれませんが、事前に記者の方で質問をまとめ、冒頭にその質問を説明してもらい、その上で質問をした方が良かったかと思います。

色々な記者会見を見て思うのですが、総理大臣が国民に語りかける記者会見と違い、今回の会見では、ネット中継されていたとは言え、全ての人に分かりやすく説明する必要はなかったと思います。
記者会見自体、ITや株取引にある程度明るい人でなければ、理解するのは難しそうですが、先程申し上げた通り、それはそこに精通した記者がいれば、問題なかったと思います。
その記者が、多くの人に掘り下げて、分かりやすく記事を書けばいいのだと、私は考えます。

今年は新型コロナウイルスの件で、安倍前総理がいくつか記者会見を開き、全てではありませんが、だいたいライブ視聴してました。
その中には、記者の質問はそれでいいのか?と思う、本当にプロなのかと思う質問も度々みかけます。

既存メディアの信頼性が落ちるのは、そうした取材最前線での劣化もあるかもしれません。
私自身、質問することは決して得意ではないので、偉そうな事を言ってますが、ただ、繰り返し申し上げるように、記者はプロフェッショナルな方々です。
真実・真相が多くの人に正しく伝わるよう、もう少し努力していただければと恐縮ながら毎回思う次第です。

<参照:東証 システムトラブル 宮原社長らが会見 | NHKニュース>
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201001/k10012643661000.html

<参照:システム障害で東証社長が謝罪会見「多大なご迷惑をお掛けし深くお詫び」…2日に売買再開 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン>
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20201001-OYT1T50199/

<参照:東証で売買再開、地方証取も通常取引 :日本経済新聞>
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64513800S0A001C2MM0000/

<参照:フェイルオーバー – Wikipedia>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC

<参照:冗長性(Redundancy) | セコムトラストシステムズのBCP(事業継続計画)用語辞典>
https://www.secomtrust.net/secword/jouchousei.html

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※YouTubeでもこの記者会見についてお話しました

■Youtube:【東証システム障害】記者会見を見ていつも思う事

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