「女性宮家」は果たして最後の手段なのか?

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2020年9月4日、NEWSポストセブンで『女性宮家創設なら「眞子様と圭殿下の子」が天皇候補の可能性』と題したネット記事が配信されました。

記事では、辞任を表明した安倍首相の後の首相候補には、強硬な「男系論者」がいないため、女性宮家創設議論が一気に進む可能性を提示していました。
今回、総裁選に立候補しませんでしたが、先日の河野太郎防衛大臣が主張した、男系を前提としつつも女系天皇容認論は、保守層の間で物議を醸しました。

2000年代に入り、皇室の後継者問題は度々報じられるようになりました。
その理由は、多くの人がご存知の通り、男性皇族の減少にあります。

そして2020年現在、去年に上皇陛下が皇太子殿下にご譲位をされ、現在の皇位継承順位は、天皇陛下の弟君であらせられる皇嗣秋篠宮殿下、秋篠宮家の若宮・悠仁親王殿下、上皇陛下の弟君であらせられる常陸宮正仁親王となります。

実質的な次の世代という意味では、悠仁親王殿下だけとなります。
これは皇室存続の危機と言えます。

そんな中、安定した皇位継承のために、「女性宮家」「女系天皇」というワードが登場するようになりました。

多くの人はこのワードや、「男系天皇」といった意味をよく理解していないかと思います。

それにもかかわらず、世論調査では「女系天皇」を認めるかの問に多数を占める一方、「女性天皇」と「女系天皇」の違いを尋ねれば、多くの人はその違いを理解してません。

これでは、世論は到底熟しているとは言えません。

その違いについて少し解説いたします。
「女性天皇」とは文字通り、女性の天皇です。
過去の歴史では8人存在しました。

これら「女性天皇」はいずれも「男系天皇」であり、「女系天皇」ではありません。
「男系天皇」とは、父親が天皇家の血筋であることを意味します。
したがって、女性であっても「男系天皇」というわけです。

ところで「女性宮家」というものは、過去ありませんでした。
宮家とは、天皇家から天皇をたてられない際に、そこから天皇をたてるようにする、いわばバックアップ的な役割があります。

これらは全てご当主は男性です。
つまり、宮家から天皇をたてる場合、全て「男系天皇」となります。

ところが女性宮家の場合、当主は女性になります。
そのお子様は当然天皇家の「女系」血筋となり、そこから誕生する天皇は「女系天皇」となります。

皇室の伝統を重んじる保守系の人たちは、「女系天皇」をあってはならないと考えます。

それは、2000年にも及ぶ皇統が、全て男系継承された万世一系(永久に一つの系統が続くこと)であるからです。
これを男女差別と声をあげる人もいます。

また、万世一系には、第26代の継体天皇の例(出自不明でここから新たな王朝が始まったという説)など、疑問視する声も聞かれています。

この歴史の事実、天皇家の血がそこで途絶えていたかは分かりません。

しかし、日本の国体として、万世一系はこれは否定するものではなく、他国の王朝交代ではみられません。

もし、継体天皇が王位の簒奪(さんだつ:本来君主の地位の継承資格が無い者が、君主の地位を奪取すること)であれば、他の王朝のように、それまでの王朝は全否定され、継体天皇は初代として始まったでしょう。
先程も述べた通り、継体天皇に血統としての正当性があったか、それは議論が分かれています。
しかしいずれにせよ、皇統はそのまま紡がれているという事実が、万世一系を守ろうとする、重んじている事に疑いはありません。

その長い長い伝統を積み重ねて、男系継承を大切にしてきた日本の皇室。
先人たちがこれを維持するため、多くの努力や知恵を絞ってきました。

果たしてこの伝統を、現代の我々が、なんの努力もなく絶やしていいのかというのが、保守の概ねの主張かと思います。

私も、先人たちが守ってきた皇統を大切にしていきたいと考えてます。
それは、誰もが認める天皇の正当性が確かにあるからです。

安定した男系継承には、側室復活などの話もありますが、側室を復活させなくても、戦後廃止された旧宮家を復活すれば解決するという意見があります。
私もこれには賛成です。

もちろん、その方々は現在民間人として生活されてますので、ご意思は尊重されるべきかもしれません。

しかしあえていいます。

伝統というのは、そのような個人の意思や自由とはかけ離れた所にあります。
そもそも天皇制というのはそういうものです。

また伝統の維持に自由が反する事は、何も皇室だけではありません。
由緒正しきお寺や神社、政治家や実業家を輩出する名家にも、個人の意思を押し殺して優先すべき伝統はあります。

自由と平等が叫ばれる現代では、伝統ある天皇制というものとは相反する事はよく分かります。
しかし、先人たちが長い長い間、守ってきた伝統を、重ねに重ねた努力も思慮もなく、安易に女性宮家の創設として片付けて、果たして良いのでしょうか。

現代である今こそ、伝統の大切さと尊さも考えてみる必要があるかと思います。

<参照:女性宮家創設なら「眞子様と圭殿下の子」が天皇候補の可能性>
https://www.news-postseven.com/archives/20200904_1592077.html?DETAIL

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